カテゴリー: お知らせ

2020/06/18

建造実績・二輪屋台:菊川市「五丁目下」後編

前回(http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/?p=5938)に引き続き、山本建築の祭り屋台の建造実績として、菊川市「五丁目下」の二輪屋台のご紹介です。

1996年(平成8年)に建造し、2006年(平成18年)には漆塗りや彫金も施された三代目となる現在の屋台。各所にはさまざまな題材の井波彫刻や漆塗りの技法の螺鈿(らでん)、蒔絵(まきえ)が配置されています。

上部の欄間には、青龍、白虎、朱雀、玄武の方角を司る四神。御簾脇の左右には、地元の方々の要望にお応えして、祭り屋台には珍しい『三国志』の登場人物も。御簾脇の左手側には政治家で戦略家の諸葛亮孔明。右手側には武将である関羽雲長です。

袖障子には麒麟と鳳凰。隅木鼻には獏。木鼻と虹梁木鼻には獅子。一般的にはシンプルな格狭間が多い障子彫には、枠いっぱいに波に千鳥を。腰彫には波に鯉も。

夜光貝や蝶貝などの貝殻を漆で塗り重ねて装飾する技法の螺鈿には、秋を表現する川に紅葉が流れる図柄や子孫繁栄のウズラとアワ、五穀豊穣を表す冬支度のために木の実を貯めるリス、地域の人々の繁栄を祈願する白ネズミに引かれる恵比寿様と大黒様を。

漆で文様を描いて、さらに金箔などを固着させる技法の蒔絵には、平穏無事と幸せを願う吉祥の鳥として鳳凰も。細部までこだわりの詰まった二輪屋台が完成しました。

ホームページには、他にもこれまで山本建築が手掛けてきた多くの祭り屋台をご紹介しています。宜しければ、そちらも是非チェックしてみてください。

【建造実績一覧】
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/built

2020/06/04

建造実績・二輪屋台:菊川市「五丁目下」前編

山本建築が実際に手掛けた祭り屋台の建造実績をご紹介したいと思います。今回は菊川市「五丁目下」の二輪屋台です。

初代の屋台は、1936年(昭和11年)頃には既に祭典で曳き廻しが行なわれていました。菊川は古くから遠州森町の屋台を引き継いで、お祭りを実施している地域があり、森型の高欄式二輪屋台に慣れ親しんでいる土地柄でもあります。

二代目を経て、1996年(平成8年)には三代目の屋台が建造されました。屋台本体は山本建築が手掛け、彫刻は井波彫刻協同組合(富山県南砺市)が携わっています。

2005年(平成17年)には、菊川町と小笠町が合併して菊川市が誕生。2006年(平成18年)には屋台に漆塗りや彫金も施されました。漆塗りは、木曽漆器で有名な荻波工房(長野県塩尻市)に、金具は村井神仏金物製作所(愛知県刈谷市)に、ご協力いただきました。

次回は『三国志』の登場人物である諸葛亮孔明や関羽雲長を題材にした彫刻や漆塗りの技法の螺鈿(らでん)、蒔絵(まきえ)などにも触れながら、さらに詳しく菊川市「五丁目下」の二輪屋台をご紹介したいと思います。

ちなみに山本建築では、同じ菊川で1988年(昭和63年)に「三共製作所」の二輪屋台も手掛けています。山本建築では、企業様や各種団体様の屋台建造も対応可能です。そちらも是非チェックしてみてください。

【建造実績】
「菊川市『三共製作所』」
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/archives/built/sankyo

2020/05/21

建造実績・四輪屋台:御前崎市白羽「新神子」後編

前回(http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/?p=5911)に引き続き、山本建築の祭り屋台の建造実績として、御前崎市白羽「新神子」の四輪屋台のご紹介です。

1995年(平成7年)に完成した「新神子」の四輪屋台には、井波彫刻の古村木材工芸(富山県高岡市)が手掛けた彫刻が各所に配置されています。大唐破風の上部の鬼板には龍、下部の懸魚(げぎょ)には鳳凰。欄間の四方には、唐獅子牡丹。木鼻には獅子。虹梁と腰虹梁には、雲の唐草。脇障子には、鶴の透かし彫りも。

屋台の内部の天井も注目のポイントです。社寺建築や書院造りなどでも見られる格天井(ごうてんじょう)で仕上げてあります。格天井とは角材を格子状に組んで、その上に板を張った天井。特に格式の高い部屋などに採用されます。

「新神子」の四輪屋台の前方の車輪は、完成時は鉄製のものでしたが、道路への影響が大きかったため、後にゴム製に変更。道路への保護対策とグリップは増しましたが、方向転換などに、より大きな力が必要となりました。そこで車輪まわりのメンテナンスを実施して、操作性を改善することに。今まで以上に、曳き回しのしやすい四輪屋台に仕上がりました。

山本建築では屋台づくりの他に各種のメンテナンスも、お引き受けしています。地域や屋台の形状など柔軟に対応できますので、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

【ホームページからのお問い合わせ】
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/contact

2020/05/07

建造実績・四輪屋台:御前崎市白羽「新神子」前編

山本建築が実際に手掛けた祭り屋台の建造実績をご紹介したいと思います。今回は御前崎市白羽「新神子」の四輪屋台です。

白羽地区は1950年頃から徐々に屋台の建造が始まったと言われています。後に、お祭りの盛んな地域である周智郡森町の建築会社・山本建築へと新しい屋台のご依頼があり、1995年(平成7年)に「新神子」の四輪屋台が完成しました。

樹齢100年以上のヒノキを採用した四輪屋台で、大きさは全長約4.0メートル、全高約4.3メートル、全幅約2.4メートル。屋台本体は山本建築が手掛け、彫刻は井波彫刻の古村木材工芸(富山県高岡市)、車輪は村松産業、金具は村井神仏金物製作所(愛知県刈谷市)が携わっています。

大きな特徴の一つは大唐破風の部分、裏甲(うらこう)が一般的なものよりも、一段多い三重になっている点。また曲線の流れが緩やかで優美であるのもポイントです。今回はここまでですが、次回はさらに御前崎市白羽「新神子」の四輪屋台の各所の彫刻や車輪まわりのメンテナンスに関してもご紹介したいと思います。

ちなみに山本建築では、同じ御前崎市で1990年(平成2年)に「薄原」の四輪屋台も手掛けています。そちらも是非チェックしてみてください。

【関連記事】
「建造実績・四輪屋台:御前崎市『薄原』」
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/archives/5503

2020/04/16

建造実績・二輪屋台:袋井市川井東「慶雲車」後編

前回(http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/?p=5884)に引き続き、山本建築の祭り屋台の建造実績として、袋井市川井東「慶雲車」の二輪屋台のご紹介です。今回は屋台の特徴や二代目の屋台の題材を継承した各種の彫刻について詳しくお伝えします。

1995年(平成7年)に完成した三代目となる現在の屋台。その大きな魅力の一つは豪華な天幕です。赤地に金色の龍と虎の刺繍が、脇障子や車輪などの漆塗りの黒色と鮮やかなコントラストを生み出しています。

また高欄の架木(ほこぎ)もポイントです。擬宝珠(ぎぼし)柱をつらぬいて、外側に架木が出ているのが一般的ですが、「慶雲車」では内側のみで収めて、すっきりとした形に仕上げています。

欄間の彫刻は、正面に鳳凰、後面に松に鷹、側面には龍。支輪には、十二支と方位の四神である青龍、白虎、朱雀、玄武を透かし彫りで配置。木鼻には、獅子や獏も。

御簾脇の左面は、ひよどり越えの合戦で、源義経が一ノ谷(兵庫県神戸市)の平家軍を襲撃しようと、鷲尾三郎を先頭に急峻な崖を人馬一体となって駆け降りる場面です。右面は、屋島(香川県高松市)の戦いで、那須与一が平家の船上に掲げられた扇の的を射落とした場面。

脇障子の右面には桜と平和のシンボルの鳩。左面には松と長寿のシンボルの鶴。腰彫りには、波に千鳥と水波におしどり。障子腰には水波に鯉が彫り上げられています。

ホームページには、他にもこれまで山本建築が手掛けてきた多くの祭り屋台をご紹介しています。宜しければ、そちらも是非チェックしてみてください。

【建造実績一覧】
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/built

2020/04/02

建造実績・二輪屋台:袋井市川井東「慶雲車」前編

山本建築が実際に手掛けた祭り屋台の建造実績をご紹介したいと思います。今回は袋井市川井東「慶雲車」の二輪屋台です。

現在のような屋台の曳き回しによる祭典が行なわれたのは、1842年(天保13年)と伝わっています。皇紀2500年を記念し、当時の山名郡川井村の6町が合同で屋台をつくり曳き回しをしました。

1879年(明治12年)に、元町と東町、南町の3町が東町組として分離し、坪井清八により袖障子や御簾脇障子を新調して旧屋台を引き継ぎます。こちらが初代の「慶雲車」となります。ちなみに「慶雲車」の名称は、町内に縁起の良い雲がたなびき、慶(よろこ)び事が重なるようにと祈って命名されました。

1928年(昭和3年)には、二代目となる屋台を木工品の専門職人である指物師の渡辺松次“建松”に依頼して建造。彫刻は、松原重正の作となっています。1937年(昭和12年)には、天幕を神戸大丸にて製作。非常に豪華な天幕は、現在も町内のシンボルとして三代目の屋台に引き継がれています。

町民に愛されていた二代目の屋台も長年の曳き回しによる傷みが大きくなり、1991年(平成3年)に新しい屋台の建造が決定。1995年(平成7年)には、三代目の「慶雲車」が完成しました。

樹齢300年以上のヒノキ材を採用した二輪屋台で、大きさは全長約5.46メートル、全高約3.73メートル、全幅約2.36メートル。屋台本体は山本建築が手掛け、彫刻は井波彫刻協同組合(富山県南砺市)、車輪は和田木工所(浜松市天竜区)、建具は望月建具店(周智郡森町)が携わっています。

今回はここまでですが、各種の彫刻などについては、次回に詳しくご紹介したいと思います。

2020/03/19

建造実績・二輪屋台:袋井市永楽町「永進車」後編

前回(http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/?p=5860)に引き続き、山本建築の祭り屋台の建造実績として、袋井市永楽町「永進車」の二輪屋台のご紹介です。

1995年(平成7年)に完成した三代目となる現在の屋台。日本における七福神のようなものである、中国の“八仙(はっせん)”と呼ばれる8人の仙人から2人を前面欄間や御簾脇に配しています。

前面欄間には八仙の一人である張果(ちょうか)。敬称として“張果老”とも呼ばれる仙人です。白い驢馬(ろば)に乗って一日に数万里を行き、休憩する時はその驢馬を瓢箪(ひょうたん)に収めて、進む時にはその瓢箪の水を噴くと驢馬が現れたと伝わっています。

御簾脇には八仙の一人である李鉄拐(りてっかい)と後漢の修行者で仙人とも呼ばれる費長房(ひちょうぼう)も。袖障子には雷神、支輪には飛龍、側面欄間には龍、後面欄間には鳳凰の彫刻が施されています。

腰長押には波に千鳥、障子腰彫りには菊水、角木鼻には獏、平桁木鼻には獅子、太鼓下には力神、町名看板には牡丹もあり、豪華な仕上がりとなっています。

心棒は耐久性の高い鉄製のものを採用しているのもポイントです。2016年(平成28年)には全体的な点検も実施しました。山本建築では屋台の新調の他に、彫刻や漆塗り、車輪など各種のメンテナンスも対応しています。お困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

【ホームページからのお問い合わせ】
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/contact

2020/03/05

建造実績・二輪屋台:袋井市永楽町「永進車」前編

山本建築が実際に手掛けた祭り屋台の建造実績をご紹介したいと思います。今回は袋井市永楽町「永進車」の二輪屋台です。

初代となる花屋台は、1972年(昭和47年)に完成。二代目となる二輪屋台は、1978年(昭和53年)に建造。そして、三代目となる現在の屋台が、1995年(平成7年)に新調されました。

三代目の屋台は、公会堂の建設に続く、地域の大事業として屋台建設委員会が中心となって推進。当時の初出番となる袋井まつりを前にした屋台の完成式では、住民の方々の笑顔で満ちあふれていたと伝わっています。

屋台本体は、山本建築が手掛け、彫刻は井波彫刻の伝統工芸士・池田誠吉(富山県南砺市)、車輪は和田猛(浜松市天竜区)、建具は望月義夫(周智郡森町)、御簾文字は永田憲時(袋井市永楽町)が携わりました。

民間伝承で親しまれ、さまざまな画題として取り上げられる中国の漢代の有名な仙人たちを、御簾脇や前面の欄間に配しているのも、大きな特徴となっています。袖障子には雷神、側面欄間には龍、後面欄間には鳳凰など各所の彫刻に関しては、次回にさらに詳しくご紹介していきたいと思います。

2020/02/20

建造実績・二輪屋台:森町下飯田「宮本車」後編

前回(http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/?p=5601)に引き続き、山本建築の祭り屋台の建造実績として、周智郡森町下飯田「宮本車」の二輪屋台のご紹介です。

今回は重要無形民俗文化財でもある山名神社の天王祭舞楽や五穀豊穣を祈る農民の姿、各種の神々や歴史上の人物を取り入れた彫刻などについて詳しくお伝えします。

三代目と言われている現在の屋台は、1994年(平成6年)に完成し、1997年(平成9年)に漆塗りが施されたものです。

支輪の彫刻は、山名神社の天王祭舞楽でも演じられる“八初児(やつはち)”“神子(みこ)”“鶴”“獅子”“迦陵頻(かりょうびん)”“龍(りょう)”“蟷螂(とうろう)”“優填獅子(うでんじし)”の全8段の場面。

その他に、須佐之男命(すさのおのみこと)、唐獅子牡丹、東西南北の四方を守る四神も支輪に彫り込まれています。

欄間の正面には雲龍、左右と後方には豊作を祝い願う予祝行事、田植え、収穫を喜ぶといった農民の姿。御簾脇には、後醍醐天皇に尽くした南北朝時代の武将である児島高徳(こじま・たかのり)と楠木正成(くすのき・まさしげ)の逸話を基にした場面。

脇障子の表には、天の岩戸を開ける天手力男命(あまのたぢからおのみこと)と踊る天宇受売命(あまのうずめのみこと)。裏には唐獅子牡丹が施され、腰長押には水鳥も。

以上のように伝統的な図柄にはない題材の彫刻も取り入れたオリジナリティーの溢れる二輪屋台に仕上がっています。

山本建築では、祭り屋台の新造の他に彫刻や漆塗り、車輪などの各種のメンテナンスも手掛けています。お困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

【ホームページからのお問い合わせ】
http://yatai.yamamoto-kenchiku.co.jp/contact/

2020/02/06

建造実績・二輪屋台:森町下飯田「宮本車」前編

山本建築が実際に手掛けた祭り屋台の建造実績をご紹介したいと思います。今回は周智郡森町下飯田「宮本車」の二輪屋台です。

初代の屋台についての詳細は分かっていませんが、二代目の屋台は1911年(明治44年)に村松源平(森町市場)によって製作され、彫刻は名古屋から呼び寄せた彫刻師が手掛けたものです。

ちなみに彫刻師を紹介したのは、下飯田出身の小説家・村松梢風(むらまつ・しょうふう、1889年~1961年)。彫刻は自宅の土蔵を彫刻師に貸し与えて製作させたと伝わっています。

80年以上に渡って曳き廻しが行なわれ、老朽化などに伴って、1994年(平成6年)に現在の屋台となる三代目が完成しました。

屋台本体は山本建築が携わり、彫刻は井波彫刻組合(富山県南砺市)、車輪は和田木工所(浜松市天竜区)、建具は望月義夫が手掛けています。

屋台の名称である「宮本車」は、山名神社のお膝元で一番近いことから“宮本”と名付けられたと言われています。

重要無形民俗文化財でもある山名神社の天王祭舞楽を取り入れた支輪の彫刻など非常に独創的な構成になっているのも大きな魅力となっています。

次回はさらに農業の盛んな土地柄にちなんだ五穀豊穣を祈る農民の姿や各種の神々、歴史上の人物の彫刻についても詳しくご紹介していきます。