屋台の車
堅固で真っ直ぐな芯の通った人間は、振れることがありません。屋台にも振れることのない心棒があります。屋台の荷重を支え、動き回る2つの車輪を繋ぐ部分です。“屋台の車は心棒で回る”と歌われるほど、重要な役割を担っています。
車輪の側面に、はめ込まれた輪板(わいた・はいた)。現在の遠州森町では、8枚の輪板を使った屋台を大八車、7枚の輪板を使った屋台を大七車と呼んでいます。輪板は、羽板(はねいた・はいた)、端板(はしいた・はいた)、大羽(おおはね)、櫛形(くしがた)の名称もあります。
心棒と車輪の中心を固定する轂(こしき)には、確かな目利きで選び抜いたケヤキを使っています。玉木(たまき)とも呼ばれる轂は、しっかりと乾燥した木材でないと後に割れや空きの原因になります。頑強な部材が必要となり非常に貴重なため、他県をはじめ遠方からのお問い合わせも頂いています。
大工が木製車輪を作り、鍛冶屋が輪締めをする。大昔では、よくあった流れですが、現在ではなかなか輪締めができる鍛冶屋さんは少ないのが現状です。山本建築では、地元のみなさんが安心して、お祭りを迎えられるように日々技術を磨いて、良質なお祭り屋台の車輪を製作しています。